院長あいさつ

 

1月あいさつ(2015年)
 明けましておめでとうございます。平成27年、西暦2015年になりました。旧年中は大変お世話になりました。本年も何卒よろしくお願い致します。

 年末に広島と神戸に行って参りました。広島では原爆ドームと平和記念館を見学し、原爆と放射能の凄まじさ、むごさを目の当たりにしました。また神戸では異人館を訪れ、なかでもNHKのドラマの題材にもなったことがある「風見鶏の館」を見学しました。ここはかつてドイツ人貿易商G・トーマスが妻と愛娘のエルゼとともに暮らした豪華なドイツ式家屋です。居間には、3人の家族が笑顔で幸せそうに暮らしている写真が展示され、微笑ましく感じられました。ところがその写真はエルゼが10歳の時を最後に途切れています。なぜなら、その時第一次世界大戦が勃発し、日本とドイツは敵国となり、帰国を余儀なくされ、同時にほとんどの財産を日本に残したために没収、本国では極めて困窮した生活を送ったそうです。文字通り、一家の幸せは、戦争に奪われたのです。そして、説明は「G・トーマス一家消息不明」で終わっていました。何とも切ない気持ちに襲われましたが、次のコーナーに行くと、家族の写真は77年の時を経て続いていました。NHKのドラマを契機に、ドイツで存命していたエルゼさんに「風見鶏の館」の事が伝わり、87歳にしてかつての我が家に戻って来た、その時の写真です。かわいい女の子は、すでに立派なおばあちゃんになっていましたが、両手を広げて満面の笑みを浮かべてかつての我が家に戻った時の歓喜の表情を見て、戦争の残酷さ、悲しさ、むなしさを感じつつ、しかし、かつての敵国だった国民同士の絆をたぐって、それを乗り越えた人間の強さというものを感ぜずにはおれませんでした。ところが風見鶏の館は、その後阪神淡路大震災で半壊状態に。約2年半かけて補修され、元の姿を取り戻し、私を待っていてくれました。エルゼさんはその後92歳で逝去され、彼女はもうこの家には戻りませんが、その代わりに、かつてドイツに持ち帰った大事な家族の思い出の椅子とテーブルセットを生前に寄贈され、父親の書斎に仲むつまじく置かれていました。

 私の仕事は医師で、私の使命は皆さんの健康に貢献すること、クリニックとしては、医療と介護が連携し、地域の方々の健康と生活に貢献すること、を使命にしておりますが、健康であるには、まずは世の中が平和でなければなりません。戦争になれば、広島の被爆者の方々や神戸のトーマス家のように、ある日突然アルバムが途切れ、全てを失うことになります。平和の大切さを噛みしめつつ、新年を迎えました。皆さんにとって、本年が良い年になりますよう、祈念申し上げて、新年のあいさつとさせていただきます。

 写真は、宮島の厳島神社です。夕日の向こうの海に浮かんでいるのが鳥居で、浜辺では鹿がのんきにくつろいでいました。

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